勤務間インターバル、翌朝の始業はどうする?勤怠から考える制度設計
夜遅くまで働いた翌朝も、いつもどおりの時間に出勤する。そうした勤務が続いていないか、まず勤怠記録から確かめてみましょう。
勤務間インターバル制度は、仕事を終えてから次の仕事を始めるまでに、一定の休息時間を確保する仕組みです。生活や睡眠の時間を確保するため、事業主には制度の導入が努力義務とされています。
2026年10月の労働政策審議会でも、勤務間インターバルのあり方が議論されています。ただし、審議中の意見を、そのまま決定済みの改正や施行日として扱うことはできません。
まず、終業から翌日の始業までを並べてみる
制度を考える出発点は、自社の働き方の把握です。厚生労働省の導入・運用の案内でも、具体的な検討に入る前に労働時間などの現状と課題をつかむことを挙げています。
勤怠記録の終業時刻と、翌日の始業時刻を社員ごとに並べると、勤務の間が短くなる場面を見つけやすくなります。交代勤務の切替えや繁忙期、月末の業務など、どの仕事で生じやすいかも見てください。
記録と実際の勤務がずれている場合は、先にその理由を確認します。退勤後に会社の指示で対応した仕事がないかなど、本人や管理者から実態を聞き、必要な勤怠の確認につなげましょう。
休息時間と対象者を、現場に合わせて考える
どれだけの時間を確保するかを検討する際は、睡眠だけでなく、通勤や生活の時間、交代制など勤務形態も考慮します。厚生労働省は、全員同じ時間数とする例や、職種で分ける例を紹介しています。
たとえば、終業が22時、翌日の始業が8時なら、その間は10時間です。これは時間の数え方を示す例であり、10時間がすべての事業場に共通する法定基準という意味ではありません。
設定する時間数だけ先に決めるのではなく、短い間隔が起きる業務の締切や担当人数を見直しましょう。制度と実際の勤務を合わせるには、仕事の進め方を変える必要がある場合もあります。
翌日の始業に重なる場合の扱いを決める
休息時間を確保すると、翌日の所定始業時刻に間に合わない場合があります。そのときに本人や上司が迷わないよう、勤務の扱いを制度設計の段階で決めておくことが大切です。
厚生労働省は、重なった部分を働いたものとみなす例と、始業時刻を繰り下げる例を示しています。どちらを採るかによって勤怠や賃金の扱いにも関わるため、自社の勤務制度や規程と照らして整理してください。
始業時刻を繰り下げる場合には、労働条件の明示との関係も確認します。担当者が勤怠システムでどう入力し、給与計算へどう反映するかまで試しておくと、導入後の混乱を減らせます。
例外と、例外が続いたときの対応も考える
厚生労働省の案内は、突発的な設備トラブルなど、特別な事情が生じた場合に適用除外を設ける例も紹介しています。例外の有無や範囲を決めるときは、現場で実際に起きる事情を労使で話し合いましょう。
例外を設けた場合も、何が起き、誰が判断し、その後どのように対応したかを社内で確認できるようにしておくと、運用を見直す材料になります。例外が繰り返される職場では、その原因を調べ、要員配置や業務の締切を見直すことが重要です。
制度の内容は管理職と従業員へ周知し、必要に応じて取引先にも説明します。導入して終わりにせず、勤務実績と現場の声を定期的に見て、休息時間が確保できているか確かめましょう。
自社で確認すること
- 勤怠記録と勤務表を並べ、終業から翌日の始業までの時間が短くなる部署・時期・業務を確認する。
- 就業規則案と給与計算の運用を照合し、休息時間が翌日の所定始業時刻に重なった場合の勤務・賃金の扱いを整理する。
- 例外対応の記録と現場の意見を確認し、例外が続く原因、担当者、業務分担や締切の見直し方法を話し合う。
自社の勤務実態に合う制度設計や就業規則、勤怠・給与の運用を整理したいときは、社会保険労務士法人エリクスへご相談ください。
参考資料(一次資料)
厚生労働省「制度の導入・運用に向けて」
https://work-holiday.mhlw.go.jp/interval/overview.html
厚生労働省「第212回労働政策審議会労働条件分科会 資料No.2-2」(2026年10月14日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001758763.pdf
(確認日:2026年10月28日)
