障害者雇用、100人以下の会社も対象?納付金の検討案と今できる確認
「従業員が100人以下だから、障害者雇用はまだ関係ない」と考えていませんか。障害者を雇用する義務と、未達成の場合の納付金は、対象となる企業の規模が異なります。
2026年10月の労働政策審議会では、納付金の対象を広げるかどうかが議論されました。まずは現行制度と検討中の案を分け、自社の雇用状況や受入れ体制を確かめてみましょう。
雇用義務と納付金の対象は同じではない
一般の民間企業の障害者法定雇用率は、2026年7月から2.7%です。宮城労働局の案内では、障害者を雇用しなければならない企業の範囲は、常用労働者37.5人以上とされています。
一方、障害者雇用納付金について、現在の制度では常用労働者の総数が100人を超える事業主で、法定雇用率を達成していない場合に、不足人数に応じた納付が必要です。高齢・障害・求職者雇用支援機構は、納付金の額を不足1人当たり月額5万円と案内しています。
つまり、100人以下で納付金の対象でなくても、規模によっては障害者の雇用義務があります。納付金だけを見て、自社の雇用状況の確認を後回しにしないことが大切です。
対象拡大は決定ではなく、検討中の案
10月21日の分科会資料では、100人以下への納付金の適用拡大について、雇用機会の拡大と中小企業への影響をどう考えるかが論点になっています。
資料は、仮に拡大する場合のイメージとして、80人以上100人未満の事業主を新たに対象とすることを挙げています。さらに、体制整備のための準備期間や、障害者の雇用数がゼロの事業主から適用を始めることも検討事項として示しています。
これは現時点で決定された制度や施行日ではありません。対象範囲や開始時期を確定事項として社内へ伝えず、今後の審議や正式な公表を確認してください。
まず自社の人数と算定方法を確かめる
人数を確認するときは、会社全体の従業員名簿と、それぞれの所定労働時間を照らし合わせます。宮城労働局は、週20時間以上30時間未満の短時間労働者は原則0.5人として数えると説明しています。
雇用義務数や実雇用率の算定には、対象となる労働者の範囲や障害の状況などに応じた扱いがあります。単純な在籍人数だけで結論を出さず、対象者と算定根拠を確認しましょう。
すでに提出した障害者雇用状況の報告書があれば、直近の人数と比べます。採用や退職、勤務時間の変更によって、前回の報告時から状況が変わっていないかを確認するためです。
採用前から、仕事と支援の体制を考える
雇用を進めるには、求人を出すだけでなく、どの仕事を任せ、誰が説明し、困ったときに誰へ相談できるかを整理しておく必要があります。複数の部署にまたがる仕事は、作業の順番や必要な支援を現場の担当者と確認しましょう。
分科会資料は、業務を分解・組み合わせることや周囲のサポートを、職場で能力を発揮するための支援として挙げています。採用後は、本人の意向も聞きながら、仕事の量や伝え方、働く環境を見直すことが大切です。
自社だけで求人や受入れの方法を決めきれない場合は、ハローワークや地域障害者職業センターなどの支援機関に相談できます。人数の確認から、採用、職場への定着までを一続きの課題として進めましょう。
自社で確認すること
- 従業員名簿と所定労働時間を照合し、常用労働者数の算定方法と直近の人数を確認する。
- 直近の障害者雇用状況報告書と採用・退職の記録を比べ、雇用状況に変化がないか確認する。
- 担当業務と部署の体制を整理し、採用時の仕事の説明役と、採用後の相談先を決める。
自社の雇用状況の整理や、受入れから定着までの進め方を検討したいときは、社会保険労務士法人エリクスへご相談ください。
参考資料(一次資料)
宮城労働局「障害者雇用率の達成と障害者雇用納付金制度」
https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/2/217.html
高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」
https://www.jeed.go.jp/disability/about_levy_grant_system.html
厚生労働省「第144回労働政策審議会障害者雇用分科会 資料1」(2026年10月21日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001761018.pdf
(確認日:2026年10月29日)
