技能講習修了証、配置前に原本と発行機関を確認していますか
技能講習が必要な作業に従業員を配置する前に、資格の種類と修了証を確認していますか。神奈川労働局は2026年8月、偽造された技能講習修了証への注意を呼びかけました。
会社が整えたいのは、証書の見た目だけで判断せず、担当する作業、本人の資格、発行機関を照合する流れです。
まず、作業に必要な資格を分ける
厚生労働省によると、一定の危険・有害な業務では特別教育が必要です。さらに、特に危険・有害な業務には、免許や技能講習などの資格を持つ人しか就けられない就業制限があります。
特別教育を受けたことと、技能講習を修了したことは同じではありません。
採用時の職種名だけで判断せず、実際に担当する機械や作業ごとに必要な資格・教育を確認しましょう。配置換えや応援勤務で作業が変わるときも、作業の開始前に確認する運用が必要です。
原本と発行機関を照らし合わせる
神奈川労働局の案内は、事業主が技能講習の資格を確認する際、修了証または修了証明書の原本を確認し、発行した教習機関が登録機関かどうかを一覧表で確かめるよう求めています。コピーを人事ファイルに保存していても、それだけで原本確認を済ませたことにはしないでください。
確認時には、本人の氏名、講習名、発行機関名を、配置予定の作業と照らし合わせます。修了証に疑問があるときは、その場で「偽物」と決めつけず、発行機関に確認し、必要に応じて労働局や労働基準監督署へ問い合わせる手順にします。
注意喚起は、見分け方の一例として使う
神奈川労働局が公表した事案は、小型移動式クレーン運転技能講習の修了証を装った書面に関するものです。資料には「技能講習修了書」と記された例などが示されています。
正式な表記は「技能講習修了証」です。
ただし、その誤記がない書面なら必ず有効、という意味ではありません。書面の文字だけでは真偽を判定できません。
原本、発行機関、修了した講習を組み合わせて確認します。資格を確認できない間は、その資格を要する作業への配置を先に進めないことが安全です。
紛失した人と、別の教育を受けた人を混同しない
修了証を紛失した人について、厚生労働省は、再交付は原則として交付した登録教習機関に相談し、機関が分からない場合は都道府県労働局に問い合わせるよう案内しています。また、技能講習修了証明書の統合カードも、所定の資格を証する書面に当たります。
一方、統合カードの発行事務局は特別教育の情報を管理していません。特別教育の実施記録まで統合カードだけで確認しようとせず、教育を実施した事業者や機関の記録を別に確認しましょう。
書類が見つからない場合に、口頭の申告だけで技能講習の修了を確認済みにする運用は避けます。
確認結果を配置の判断につなげる
確認を一度きりの採用書類チェックで終わらせず、作業と必要資格の対応表、従業員ごとの確認記録、配置を決める担当者を整理しておくと、異動や急な応援の際にも判断しやすくなります。確認記録には、見た原本の種類、講習名、発行機関、確認日を残す方法が考えられます。
資格の真偽に疑問が出たとき、現場だけで判断を抱え込まない連絡先も決めておきましょう。就業制限のある作業に誰を配置できるか、会社が根拠を持って判断できるようにしておきます。
自社で確認すること
- 作業一覧と配置表を照合し、技能講習や免許を要する作業に誰を充てているか確認する
- 対象者の修了証または修了証明書の原本を見て、講習名と発行機関を確認する
- 資格を確認できない場合の発行機関への照会先と、配置を決め直す担当者を確認する
資格確認の手順を現場の配置や人事記録に合わせて整えたい場合は、社会保険労務士法人エリクスへご相談ください。
参考資料(一次資料)
厚生労働省「労働安全衛生関係の免許・資格・技能講習・特別教育など」
神奈川労働局「『技能講習修了証』の偽造にご注意ください!」
https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/content/contents/002783238.pdf
神奈川労働局「これから技能講習を受講し、修了証の交付を受けようと考えている方へ」
https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/content/contents/000709260.pdf
技能講習修了証明書発行事務局「技能講習修了証明書発行のご案内」
