在宅勤務の机・椅子、本人任せになっていませんか?会社の確認と改善の進め方
在宅勤務の許可と、作業環境の確認を一緒に
テレワークの申請書はあるものの、自宅でどのような机や椅子を使っているか、困ったときに誰へ相談するかは把握できていない。制度を設けた後は、実際に無理なく働ける環境になっているかも確認しましょう。
厚生労働省のテレワークガイドラインは、自宅で勤務する場合にも、労働安全衛生関係法令等に基づく安全と健康の確保が必要であるとしています。「自宅だから本人任せ」とせず、本人が確認し、会社が相談を受けて改善につなげる流れを用意することが大切です。
会社の事務所と、同じ適用ではない
労働者の自宅など、会社が業務のために提供する作業場以外では、事務所衛生基準規則や、労働安全衛生規則の作業場に関する一部の規定、情報機器作業のガイドラインは一般には適用されません。
ただし、作業環境への配慮が不要になるわけではありません。厚生労働省は、これらの衛生基準と同等の環境となるよう、会社が教育・助言を行い、本人から状況の報告を受け、必要に応じて労使で改善することが重要だとしています。
会社の事務所の基準をそのまま自宅の一律の義務として伝えることも、すべて私生活の問題として扱うことも避けたいところです。自社の対象者と勤務場所を整理し、確認方法を決めましょう。
本人用のチェックリストで、具体的な状況を聞く
厚生労働省は、事業者用と労働者用のチェックリストを公開しています。本人用には、作業のための空間、姿勢、転倒の危険、明るさ、換気、温湿度、休憩できる環境などの確認項目があります。
例えば、「画面を見るために前かがみになっていないか」「足元に電源コードや書類がないか」と尋ねます。確認する箇所を示すと、本人も答えやすくなります。
机・椅子・画面・キーボード等の配置は、眼や肩、腕、腰に無理のない姿勢で働けるかを確認します。照明については書類が支障なく読めるか、画面がまぶしくないかという観点も役立ちます。
実務では、本人用のチェックリストに記入してもらい、困っている項目と相談したい内容を会社が受け付ける方法が考えられます。住まい全体の情報を集めることを目的にせず、仕事に必要な環境の確認として説明しましょう。
報告を受けた後の担当と対応を決める
確認票を回収しただけでは、環境は変わりません。例えば、本人から「机が低く、画面を見る姿勢がつらい」と報告があったら、何を調整できるか、誰が本人と話すかを決めます。
配置の変更で対応できることと、備品の貸与など会社の判断が必要なことを分けると、検討を進めやすくなります。これは対応方法の一例であり、会社が特定の備品を一律に購入すべきという意味ではありません。
自宅での改善が難しい場合は、サテライトオフィスなど別の勤務場所の活用も検討します。ガイドラインも、労使での改善や自宅以外の場所の利用を選択肢として挙げています。
確認結果には、対応する内容、担当者、確認する日を残しておくとよいでしょう。調整した後に、同じ作業を無理なく行えるようになったかを本人へ聞くところまでを、一連の対応にします。
開始時だけでなく、変化があったときにも
テレワークを初めて行わせるときは、チェックリスト等を使い、安全衛生の取組や作業環境を労使で確認してから始めることが重要とされています。雇入れ時や作業内容変更時の教育についても、テレワークで働くことを踏まえて確認が必要です。
また、転居や作業場所の変更などで状況が変わることもあります。作業環境の大きな変化や心身の不調を感じたときに、本人が相談できる窓口と連絡先を伝えておきましょう。
在宅では上司が変化に気づきにくい場合があります。勤務場所の申請手続と、安全衛生上の相談先をつなげ、報告を受けた担当者が抱え込まない運用にしておくことが大切です。
自社で確認すること
- テレワークの申請・開始手順を見直し、本人用チェックリスト等で作業環境を確認する担当と時期を決める。
- 確認結果と備品貸与等の運用を照合し、困っている項目への対応、担当者、改善後の確認日を整理する。
- 社内案内の相談窓口・連絡先を確認し、作業場所の変更や心身の不調があったときの報告方法を本人に伝える。
テレワーク規程と実際の確認・相談対応をつなげたい場合は、社会保険労務士法人エリクスへご相談ください。
参考資料(一次資料)
厚生労働省「自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01603.html
厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインについて」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc6069&dataType=1&pageNo=1
厚生労働省「テレワークの安全衛生・作業環境チェックリスト(事業者用・労働者用)」
