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正社員の試用期間、本採用を見送る前に確認したい理由と手続

期間の定めのない正社員を採用し、最初の3か月を試用期間とする場合、その3か月は雇用の終了日ではありません。本採用を見送るには、理由の妥当性と解雇の手続を確認する必要があります。

この記事では、こうした正社員の試用期間を中心に説明します。最初から有期労働契約を結ぶ場合は別に整理し、契約を更新する条件なども採用時に明示しましょう。

正社員の試用期間は、契約の満了日ではない

「期間の定めなし、試用期間3か月」という契約なら、試用期間が終わるだけで労働契約が終了するわけではありません。本採用拒否によって会社が雇用を終える場合は、解雇としての検討が必要です。

厚生労働省が紹介する裁判例でも、採用時に期間を設けた目的が適性の評価・判断であるときは、期間満了で当然に契約が終了するという明確な合意などの特段の事情がなければ、試用期間と解されると説明しています。

書類に「3か月」と記載しただけで有期契約になるとは限りません。契約書の表題だけで判断せず、採用時の説明、期間を設けた目的、実際の働き方を確認してください。

有期契約を使うなら、更新条件も明示する

最初から契約期間を定める場合は、試用期間の規定とは区別して、契約の開始日・終了日と更新の有無を示します。更新する場合があるなら、更新する・しないを判断する基準も書面等で明示する必要があります。

「勤務成績による」とだけ書く前に、どの仕事の習熟度や勤務態度を判断材料にするのか、自社の運用を整理しましょう。これは基準を本人へ説明し、担当者間でも判断をそろえるための実務上の工夫です。

2024年4月からは、有期契約の締結時と更新時に、更新上限の有無と内容の明示も必要です。通算契約期間や更新回数の上限を確認し、最初の契約後に上限を新設・短縮する場合は、その理由をあらかじめ説明します。

更新条件を記載すれば、どのような場合でも雇止めが認められるという意味ではありません。更新の経過や本人に更新を期待させる事情などによって、雇止めの有効性が問題になる場合があります。

「能力不足」を具体的な事実に置き換える

試用期間中の解約権は通常の解雇より広い範囲で認められるとされていますが、試用期間の趣旨・目的に照らし、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当とされる場合に限られます。

「期待したほどではない」「上司と合わない」という感想だけで結論を出さず、どの業務で、いつ、何ができなかったのかを整理しましょう。採用時に求めた能力と、実際に任せた仕事が一致していたかも確かめます。

例えば、説明した作業手順、指導した日、本人の説明、その後の改善状況を時系列で残す方法があります。ただし、記録があれば本採用拒否が必ず有効になるわけではありません。

必要な研修を受けていなかった、指示が十分に伝わっていなかったなど、会社側で見直すべき事情がないかも確認してください。

14日を超えたら、解雇予告にも注意

沖縄労働局は、試用期間中でも14日を超えて引き続き使用した人を解雇する場合には、解雇予告の手続が必要と案内しています。試用期間を3か月と決めても、その間ずっと予告が不要になるわけではありません。

解雇には、例外を除き30日前の予告が必要です。予告をしない場合や日数が不足する場合は、原則として不足日数分の平均賃金による解雇予告手当が必要となります。

入社日、通知日、終了予定日を並べ、予告日数を数えてください。平均賃金は月給を単純に30で割った額とは一致しないことがあります。

最初の14日以内に予告の適用が除外される場合でも、解雇理由の合理性まで不要になるわけではありません。理由の妥当性と予告の手続は、それぞれ確認する必要があります。

退職届の形式だけで処理しない

会社が本採用を見送ることと、本人が自由な意思で退職を申し出ることは同じではありません。厚生労働省の解説では、退職の扱いは文書の内容や当事者の言動などから判断され、退職勧奨に応じるかは本人が選べるとされています。

退職届を受け取ったという形式だけで合意退職と決めつけず、会社の説明と本人の返答、離職の扱いを照合しましょう。試用期間の終了直前に判断を集中させず、途中で状況を確認する日と判断担当者を決めておくと、検討する時間を確保しやすくなります。

自社で確認すること

  • 契約書と就業規則を照合し、無期契約の試用期間か有期契約か、有期なら更新の有無・判断基準・更新上限を確認する
  • 担当業務、指導内容、本人の説明と改善状況を時系列で整理し、本採用判断の理由を確認する
  • 入社日、通知日、終了予定日を並べ、解雇予告と手当の要否、本人の意思と離職の扱いを確認する

試用期間の規定や採用時の契約内容、本採用判断の進め方に迷う場合は、社会保険労務士法人エリクスへご相談ください。

参考資料(一次資料)

厚生労働省「試用期間」

https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/shogu/shiyou.html

沖縄労働局「労働相談事例 採用Q3」

https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/jigyounushi/careers_question_3.html

厚生労働省「退職、解雇、雇止めなど」

https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_taisyoku.html

厚生労働省「採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_4.html

厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」

https://muki.mhlw.go.jp/rule.html

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