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店長なら残業代は不要?管理監督者の扱いを見直す確認ポイント

「店長に昇格したので、残業代は支給しない」。その扱いを続ける前に、実際に任せている権限や働き方を確認してください。

社内の管理職と、労働基準法上の「管理監督者」は同じではありません。厚生労働省は、役職名ではなく、職務内容、責任と権限、勤務態様、賃金等の待遇を踏まえて判断する考え方を示しています。

店長が自ら決められる範囲を確かめる

最初に確かめたいのは、店長が自分の判断で決められることです。実務上は、職務分掌や決裁ルールを取り出し、現場での運用と見比べるところから始めるとよいでしょう。

採用、部下の評価、勤務割の作成などについて、誰が提案し、誰が決定しているかを書き出してみてください。「店長が担当する」と書かれていても、実際には本部の決定を伝えるだけなのか、判断を委ねられているのかで事情は異なります。

厚生労働省の多店舗展開する小売業・飲食業等に関する資料では、こうした権限の乏しさを、管理監督者に当たらない方向の判断要素として整理しています。ただし、採用権限が一つあれば、それだけで管理監督者になるという意味ではありません。

同省のQ&Aも、否定要素に当てはまらないことを、そのまま該当する根拠にはできないと説明しています。チェック項目を埋めるだけで結論を出さず、仕事全体における立場を確認する必要があります。

シフト表と実際の働き方を照合する

次は、本人の勤務時間にどの程度の裁量があるかです。店舗の営業時間、人員配置、欠員時の対応も含めて、実際の勤務状況を見てください。

厚生労働省の資料は、営業時間中の常駐や人手不足の穴埋めで長時間勤務となり、時間についてほとんど裁量がない場合を、管理監督者性を否定する補強要素に挙げています。

自社での確認には、シフト表だけでなく実際の出退勤記録を使うことをお勧めします。予定と実績が違う日に何があったかを店長にも確かめると、書面上の裁量と現場の状況を比べやすくなります。

なお、健康管理や深夜割増賃金の支払いのために労働時間を把握していること自体は、管理監督者性を否定する要素ではありません。該当させるために勤怠記録をやめる、という見直しはしないでください。

役職手当の有無だけで待遇を判断しない

待遇の確認では、役職手当が付いているかだけを見て終わらせないことが大切です。厚生労働省のQ&Aは、地位にふさわしい待遇が必要であり、実労働時間で換算した賃金が最低賃金を上回るだけで管理監督者性が肯定されるものではないと説明しています。

実務上は、給与台帳で基本給・手当・賞与を確認し、実際の勤務時間と併せて整理しておくとよいでしょう。一般の従業員との比較が必要になったときも、支給実績を基に検討できます。

昇格時の資料と現在の運用が変わっていないかも、点検したいところです。判断に迷う場合は、規程の文言だけを直す前に、仕事・権限・勤務・待遇の資料をそろえて確認しましょう。

管理監督者でも、深夜割増は別に確認する

労働基準法上の管理監督者であっても、深夜労働の割増賃金は必要です。午後10時から翌午前5時までの労働については、通常の労働時間の賃金の計算額に対し、25%以上の割増が求められます。

給与計算では、役職者だからという理由で深夜時間まで集計から外していないかを確認してください。給与明細の表示だけで判断せず、深夜の実績時間が計算にどう反映されているかをたどる方法をお勧めします。

管理監督者に該当するかと、深夜割増を適切に支払っているかは、分けて確認する論点です。本記事だけで個々の店長の該当性を断定することはできません。

自社で確認すること

  • 職務分掌と決裁ルールを実際の運用に照らし、店長が自ら判断できる権限を確認する。
  • シフト表・出退勤記録・給与台帳をそろえ、勤務時間の裁量と待遇の実態を確認する。
  • 午後10時から翌午前5時までの実績時間と給与計算を照合し、深夜割増の計算漏れがないか確認する。

店長や管理職の残業代の扱いを、実態に即して見直したい場合は、社会保険労務士法人エリクスへご相談ください。

参考資料(一次資料)

厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/kanri.pdf

厚生労働省「『管理監督者』の範囲の適正化に関するQ&A」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/faq_kanri.html

厚生労働省「深夜の割増賃金に関するよくある質問」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_25.html

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