労働条件通知書、改正項目が抜けていませんか?採用・更新前に確認する4点
監督結果が示す「労働条件の明示」の確認
長野労働局が公表した令和7年の行政運営方針(速報値)では、定期監督等を実施した事業場は3,247、法違反が確認された事業場は2,392(73.9%)でした。このうち「労働条件の明示」に関する違反は709件(21.9%)です。
長野県内の速報値であり全国統計ではありませんが、採用や契約更新の書式を一度点検するきっかけになります。
厚生労働省は、令和6年4月から労働条件の明示ルールが変わったことを案内し、モデル労働条件通知書を公開しています。古い書式を複製して使っている場合は、現在の契約実態と照らし合わせて確認しましょう。
確認1 有期契約の更新欄を空欄にしない
契約期間に定めがある場合、更新の有無だけでなく、更新する場合または更新しない場合の判断基準、更新上限の有無を確認します。モデル様式には、業務量、勤務成績・態度、能力、会社の経営状況など、更新判断の基準を記載する欄があります。
更新上限を設ける場合は、回数または通算契約期間も明示します。
通算契約期間が5年を超える有期労働契約では、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件を明示する場面があります。対象者を把握し、更新時に欄が変わるかを担当者が確認できるようにしておくと、記載漏れを防ぎやすくなります。
確認2 就業場所と業務は「変更の範囲」まで見る
令和6年4月以降のモデル様式では、就業場所と従事すべき業務について、雇入れ直後の内容に加えて変更の範囲を記載します。勤務地や担当業務が変わる可能性がある場合、就業規則や人事異動の運用と矛盾しない範囲で、どこまでを想定するかを整理します。
「会社の定める場所」「会社の定める業務」とだけ記載している場合も、実際の運用や職種の説明とずれていないかを確認しましょう。求人票、面接時の説明、通知書の3つが同じ内容になっているかを採用担当者と確認することが重要です。
確認3 勤務時間・休日・賃金は適用条件を具体化する
始業・終業時刻、休憩時間、所定時間外労働の有無、休日、年次有給休暇の扱いは、対象者に適用される具体的な条件を記載します。交替制、変形労働時間制、フレックスタイム制などを使う場合は、モデル様式の記載要領に沿って勤務の組み合わせや時間帯を確認します。
賃金は基本給だけでなく、諸手当の額または計算方法、割増賃金率、賃金の締切日・支払日・支払方法なども、給与規程や給与計算の設定と照合します。通知書だけが新しく、就業規則や給与規程が古いままになっていないかが点検のポイントです。
確認4 交付方法と記録をそろえる
労働条件通知書は書面で交付するほか、労働者が希望する場合は、ファクシミリや電子メールなど、受信者を特定して情報を伝達できる方法で明示できます。電子交付を採用する場合は、誰に、いつ、どの内容を送ったかを後から確認できる記録を残します。
雇入れ時だけでなく、契約更新、勤務地・業務の変更、賃金や勤務時間の変更があったときも、通知書の内容と実際の運用を照合します。事業場ごと、雇用区分ごとに使う書式と確認担当者を決めておくと、担当者が変わっても点検を続けられます。
採用・更新前にそろえる資料
現在の労働条件通知書、求人票、雇用契約書、就業規則・給与規程、直近の人事異動やシフトの運用資料を一つの一覧にします。有期契約者については、契約期間、更新回数、更新上限、無期転換の対象時期も一覧にすると、通知内容を判断しやすくなります。
書式のどの欄を埋めればよいか、変更の範囲をどのように表現するか、実際の勤務や賃金と通知書が一致しているかを自社だけで確認しにくい場合は、社会保険労務士法人エリクスへご相談ください。
参考資料(一次資料)
- 長野労働局「令和8年度 行政運営方針」
https://jsite.mhlw.go.jp/nagano-roudoukyoku/content/contents/002623110.pdf
- 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html
- 厚生労働省「モデル労働条件通知書(一般労働者用;常用、有期雇用型)」
