最低賃金の改定前、「時給だけ」見直せば大丈夫?給与チェック3点
令和8年度の地域別最低賃金について、中央最低賃金審議会は引上げ額の目安を答申しました。目安どおりに引き上げられた場合、全国加重平均は55円上がって1,176円となる見込みです。
ランク別の目安は、Aランクが54円、Bランクが56円、Cランクが56円です。宮城県はBランクに含まれるため、56円の目安が示されています。
ここで注意したいのは、これは各地域で決定される最低賃金額そのものではないことです。人件費への影響を見込んで、時給者の単価を確認し始めた事業所も多い時期ですが、実際の給与確認にはもう一段の準備が必要です。
まず、決定額と発効日を確認する
中央最低賃金審議会が示す引上げ額は、各都道府県の審議の参考となる目安です。その後、各地方最低賃金審議会での審議を経て、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定します。
そのため、ニュースで見た引上げ額をそのまま自社の計算に使うのではなく、事業場の所在地に適用される金額と発効日を確認しましょう。拠点が複数ある会社では、勤務地ごとの確認も必要になります。
総支給額ではなく、対象となる賃金を見る
最低賃金の対象は、毎月支払われる基本的な賃金です。通勤手当、家族手当、精皆勤手当、時間外・休日・深夜の割増賃金、賞与などは、比較する賃金から除外されます。
例えば、総支給額が十分に見えても、通勤手当や残業代を除いて計算すると、最低賃金を下回る可能性があります。反対に、職務手当のように対象に含めて確認する手当もあるため、名称だけで判断せず支給内容を確認することが大切です。
月給者・日給者は時間額へ換算する
厚生労働省は、月給制では「月給÷1か月平均所定労働時間」で時間額を比較する方法を示しています。日給制では「日給÷1日の所定労働時間」で確認します。
基本給と手当で支払方法が異なる場合は、それぞれを時間額に換算して合計します。月の実労働時間や残業時間ではなく、制度に応じた所定労働時間を使う点も、計算時の見落としになりやすいところです。
改定前に給与計算の設定まで確認する
賃金表を見直しても、給与計算ソフトの単価や、入社時の雇用契約書の時給が旧額のままでは運用がそろいません。パート・アルバイトだけでなく、月給者、短時間正社員、固定給と手当を組み合わせている従業員を一覧にして確認すると進めやすくなります。
確認の結果、単価の見直しが必要になった場合は、適用日、賃金規程、雇用契約書や労働条件通知書、給与計算設定を同じ基準でそろえましょう。最低賃金への対応をきっかけに、手当の設計や所定労働時間の扱いまで整理しておくと、今後の問い合わせにも対応しやすくなります。
確認対象を先に一覧化する
給与形態や支給している手当が部署・雇用区分によって異なる場合は、全員を同じ方法で確認できないことがあります。対象者、勤務地、給与形態、所定労働時間、比較に入れる賃金を一覧にすると、確認漏れを防ぎやすくなります。
改定額が確定してから慌てないよう、今のうちに一覧のひな型だけ作っておくのも一つの方法です。採用時の提示額や求人票も含めて確認する担当者を決めておくと、社内での対応が分かれません。
自社の給与体系でどの賃金を比較対象にするか、月給者をどのように換算するかに不安がある場合は、社会保険労務士法人エリクスへご相談ください。
参考資料(一次資料)
- 厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74920.html
- 厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43899.html
- 厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43898.html
