ニュース

傷病手当・労災請求 精神疾患が大幅に増加~企業に求められるメンタルヘルス対策とは~

 全国健康保険協会(協会けんぽ)が公表した令和6年度の現金給付状況によると、精神疾患による傷病手当金の支給件数が前年度より約1万件増加し、7万件を超えました。令和3年度以降は女性の支給件数が男性を上回り、支給金額ベースでも女性が49.2%を占めるなど、性別を問わず精神疾患による休職が増加しています。総支給金額は341.9億円(前年度比44.8億円増)で、コロナ禍の影響が大きかった令和4年度を上回る結果となりました。傷病別では、精神疾患による支給金額が全体の43.7%を占め、最も多い状況です。

◆労災請求でも精神疾患が増加傾向

一方で、精神障害による労災請求も年々増加しており、10年前と比べると3倍以上に増えています。特に「対人関係のトラブル」や「パワーハラスメント」など、職場環境に起因する原因が急増している点が特徴的です。医療現場での労災認定件数も増加しており、業種を問わずメンタル不調が深刻な社会問題となっています。2025年版「過労死等防止対策白書」でも、精神障害による労災請求の増加とハラスメントや職場内トラブルが主要な原因として取り上げられています。

◆企業に求められる対応と課題

 精神疾患による傷病手当金・労災申請の増加は、休職者の増加や労働生産性の低下に直結する重大な経営課題です。企業には、従業員の心身の健康を守るための、より積極的で実効性のある取り組みが求められています。

〈具体的な取り組みについて〉

1)ハラスメント対策の徹底

 精神障害の労災認定では、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントが具体的原因として多く挙げられています。企業は、ハラスメント防止研修や相談体制の整備、再発防止策の策定など、組織全体での取り組みを強化することが必要です。

2)ストレスチェック制度の有効活用

 ストレスチェック制度を「年1回の義務」で終わらせず、 • 高ストレス者への面接指導 • 結果分析による職場環境改善 といった実践的な活用が重要です。

3)長時間労働の削減

 過重な労働時間は心身の健康を損なう大きな要因です。労働時間の適正把握を徹底し、部署ごとの偏りや慢性的な残業を早期に是正することが必要です。 経営層から現場まで一体となり、「長く働くことが評価される風土」からの転換を進めましょう。

4)過重労働による健康障害の防止

 長時間労働を行った従業員には、医師による面接指導を確実に実施するなど、健康障害を未然に防ぐための仕組みを整えることが求められます。労働時間データを活用し、早期にリスクの高い従業員を把握・支援する体制を整備しましょう。

5)休日の確保・休暇の取得促進

 十分な休養は、心身のリフレッシュや生活習慣の改善につながります。 年5日の年次有給休暇の取得義務化にとどまらず、社員が気兼ねなく休める職場風土づくりが大切です。 上司が率先して休暇を取得するなど、組織全体で「休むことを奨励する文化」を育てましょう。

◎まとめ

精神疾患の増加は、もはや一部の業界や個人の問題ではなく、全ての企業に共通するリスクです。従業員のメンタルヘルスを守るための体制づくりは急務であり、企業の持続的な成長にも直結します。 職場のメンタルヘルス対策・ハラスメント防止体制の整備については、社会保険労務士法人エリクスまでお気軽にお問い合わせください。

労務相談・助成金の申請なら
社会保険労務士法人エリクスまで

080-6004-5475

受付時間(平日)9:00〜18:00