賞与支払届とは?提出義務・期限・リスク・電子申請まで完全解説
賞与支払届は、賞与に関する社会保険の手続きを行うための重要な書類です。給与や税務の処理とは異なる法的性質を持ちますが、実務では提出方法や期限、対象者の扱いを正しく理解せず運用されるケースも少なくありません。その結果、保険料計算の誤りや年金記録への反映漏れなど、労使間や行政とのトラブルにつながることがあります。
本記事では、賞与支払届の法的根拠、提出義務、提出期限、電子申請の方法など、実務上押さえておくべきポイントを詳しく解説します。当法人としては、賞与支払届を実態に即して正確に作成・提出することが、社員の社会保険料や年金記録を守り、労務トラブルを未然に防ぐ最善策であると考えています。
■賞与支払届の法的根拠と目的
賞与支払届は、会社が従業員に賞与を支給した際に、その支給額と支給日を年金事務所へ届け出る義務があります。
期限日は賞与支払日より5日間です。
関連法令
| 法律 | 条文抜粋 |
健康保険法 第48条 | 「適用事業所の事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を保険者等に届け出なければならない。」 |
厚生年金保険法 第28条 | 「適用事業所の事業主又・・・(中略)は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(被保険者であつた七十歳以上の者であつて当該適用事業所に使用されるものとして厚生労働省令で定める要件に該当するもの(以下「七十歳以上の使用される者」という。)を含む。)の・・・(中略)報酬月額及び賞与額に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。」 |
目的
- 社会保険料(健康保険・厚生年金)の正確な算定
- 従業員の将来の年金額や給付への正しい反映
■ 提出しないとどうなるか
賞与支払届を出さない場合、以下のリスクがあります。
- 社会保険料が未納扱いに
後日、年金事務所から追加徴収や延滞金の通知が届く可能性があります。 - 被保険者の年金記録に反映されない
将来の年金額が少なく算定されることがあります。 - 行政指導や調査の対象に
報酬・賞与支払状況確認や実地調査の対象になる場合があります。 - 従業員とのトラブルに発展
「保険料を天引きされているのに届出が出ていない」といったクレームの原因になります。
社労士視点では、賞与支払届は「出さなければ損、出せば安心」の法定手続きです。
■ 提出先・期限・必要書類
| 項目 | 内容 |
| 提出期限 | 賞与支給日から 5日以内 |
| 提出先 | 管轄の 年金事務所 |
| 提出方法 | 紙提出、電子申請(e-Gov、社会保険届出システム) |
| 必要書類 | 「賞与支払届」+「賞与支払届総括表」 |
| 記載内容 | 被保険者氏名・整理番号・賞与支給額・支給日・免除適用の有無 |
■賞与支払届の作成上の注意点
- 支給日ベースで記入(決定日ではない)
- 給与・臨時手当・報奨金の扱いは法律上「賞与」となる場合がある
- パート・短時間社員も社会保険加入者は対象
- 上限150万円までが標準賞与額として保険料対象
■ 電子申請の活用
方法
| 方法 | 内容 |
| e-Gov | 国公式オンライン申請。無料で利用可能 |
| 社会保険届出システム | GビズIDでログインし提出 |
| 給与ソフト連携 | 給与奉行、マネーフォワード、freeeなどで直接送信 |
メリット
- 24時間提出可能
- 記載誤りや漏れを防止
- 控え・履歴のデータ管理が容易
- 給与ソフトとの連携で自動化可能
注意点
- PDF控えを必ず保存
- 提出データに不備があれば差し戻し通知が届く
- 小規模事業所でも任意利用でメリット大
■ 社労士からのアドバイス
- 支給日が決まった時点で届出準備を開始しましょう。
- 電子申請で支給直後に提出しましょう。
- 控えや履歴を社内で保管しましょう。
- 不安があれば社労士に代行依頼も可能です。
■まとめ
- 賞与支払届は法定義務で、提出しないと保険料・年金・信頼問題に直結
- 提出期限は「支給日から5日以内」、提出先は「年金事務所」
- 電子申請を活用すれば効率化・ミス防止が可能
- 年末のボーナス支給前に、チェックリストで管理するのが推奨
賞与支払届も、形式的に作成すればよいというものではありません。
正しい金額・支給日・被保険者情報を実態に即して正確に記録・提出することが、社会保険料や年金記録を守る最善策です。
適切な書類整備と運用体制の構築は、未納や行政指摘などのリスクを防ぐ最善策です。
賞与支払届の作成や提出手続き、電子申請の運用に不安がある場合は、社会保険労務士法人エリクスまでお気軽にお問い合わせください。
