令和8年度 両立支援等助成金が拡充されます(令和7年度との比較つき)
厚生労働省は令和8年度、両立支援等助成金の拡充など、育児・介護と仕事の両立支援に関する取組みを強化します。両立支援等助成金は、中小企業における仕事と育児・介護の両立に向けて、業務代替の体制整備や柔軟な働き方の導入を含めて支援する制度です。一部のコースについては、支援対象とする企業の範囲を拡大するほか、取組み期間に応じた最大支給額の引上げなどが行われます。
1)出生時両立支援コース
男性の育休取得者が出たり、男性育休取得率が大幅に上昇して50%以上に到達したりした企業を対象とします。支援対象は「中小企業」に限定せず、常時雇用労働者300人以下の企業全体に拡大されます。支給額に変更はなく、男性の育休取得者が1人目の場合は20万円、2~3人目は各10万円となります。
【令和7年度】1人目:20万円/2~3人目:各10万円
【令和8年度】1人目:20万円/2~3人目:各10万円
※支援対象を「中小企業」に限定せず、常時雇用労働者300人以下の企業へ拡大
2)育休中等業務代替支援コース
育休中の労働者や時短勤務者の業務を代替する者への手当支給について、雇用労働者数の要件が撤廃されます。また、育休取得者の代替要員を新規雇用した場合は、対象を300人以下の企業全体に広げるとともに、最大支給額も引き上げられます。
【令和7年度】7日以上の代替期間:9万円/6か月以上の代替期間:67.5万円
【令和8年度】7日以上の代替期間:9万円/1年以上の代替期間:最大81万円
※1年以上の代替期間で「プラチナくるみん認定事業主」の場合は99万円
3)柔軟な働き方選択制度等支援コース
3歳~小学校就学前の子を育てる労働者に対し、テレワークや短時間勤務など「柔軟な働き方選択制度」を3つ以上導入した企業を対象とします。さらに拡充策として、障害のある子や医療的ケアが必要な子を持つ労働者を対象に、制度の利用期間を18歳の年度末までに延長した場合、20万円が加算されます。
【令和7年度】制度を3つ以上導入し、対象者が制度を利用:25万円
【令和8年度】以下3つを満たす場合に20万円を加算
・制度を3つ以上導入した企業
・障害のある子や医療的ケアが必要な子を持つ労働者が対象
・制度の利用期間を18歳の年度末までに延長した場合
4)介護離職防止支援コース
介護休暇制度を有給化する企業への助成が新設されます。有給の介護休暇制度を導入した場合は30万円、休暇が年10日以上の場合は50万円が支給されます。
【令和8年度より新設】有給の介護休暇制度を導入:30万円
有給の介護休暇が年10日以上:50万円
5)その他の支援
中小企業の課題や状況に応じて、社会保険労務士などの専門家がアドバイスを行う「中小企業育児・介護休業等推進支援等事業」も強化されます。
企業支援を担う「仕事と家庭の両立支援プランナー」の人数は、今年度の100人から105人に増員される予定です。改正育児・介護休業法に基づき、柔軟な働き方のための個別周知・意向確認や、介護に関する雇用環境整備についても、現状を踏まえた効果的な手法を提案していきます。
◆まとめ
令和8年度の両立支援施策は、育児休業者の代替要員確保や男性育休取得の促進、介護休暇の有給化など、中小企業が直面する「人材確保」と「制度運用」の課題に直結した支援が強化されています。制度をうまく活用することで、従業員が安心して育児・介護と仕事を両立できる環境を整え、人材定着にもつなげることが可能です。
助成金の活用や制度設計に関してご不明な点がございましたら、ぜひ社会保険労務士法人エリクスまでお気軽にお問い合わせください。
◎両立支援等助成金における「中小企業」の範囲
小売業:資本額または出資額 5千万円以下、常時雇用労働者数 50人以下
※飲食業を含みます
サービス業:資本額または出資額 5千万円以下、常時雇用労働者数 100人以下
卸売業:資本額または出資額 1億円以下、常時雇用労働者数 100人以下
その他:資本額または出資額 3億円以下、常時雇用労働者数 300人以下